2024年度障害福祉サービス等報酬改定の方向性は?

 今年の夏から検討が始まった来年度(2024年度)の障害福祉サービス等報酬改定は、7月~10月にかけて10回以上の検討チームの会議が開かれてきています。事務局と有識者11人のアドバイザーが入った会議が、約4か月の間に10回を超えて重ねてきているので、かなり急ピッチで検討が行われてきていると言えるかと思います。2025年秋からスタートする就労選択支援の新設、障害児通所支援の大幅な改定など、注目すべき点がいくつも挙げられてきています。事務局(厚生労働省障害保健福祉部及びこども家庭庁障害児支援課)が出してきた改定原案について、アドバイザーが意見や質問を出すという形で進められてきていますが、10月までで、各事業の一通りの検討が終わり、有識者から出された意見を踏まえて、施設入所支援は2回目の検討もされているところです。他の事業も2回目の検討が行われるかもしれませんが、12月には報酬改定の方向性が固まり、来年2月には具体的な数字も入った報酬改定案が公表される予定かと思われます。
 新設される就労選択支援では、現在、行われてきている就労アセスメント実習を改変して、それに代わる事業という位置づけになるのかどうか?2年ぐらい先に始まる事業ではありますが、今から注目すべき制度ではあります。
 障害児通所支援では、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケ―ション」「人間関係・社会性」の5領域を総合的に支援することを事業の基本としつつ、特定領域に限って支援する場合は、障害児相談支援や個々の事業所での個別支援計画にその支援の位置づけなどを明記して行うこと、などがうたわれていますが、意味するところがまだ曖昧な印象はぬぐえません。保育所等訪問支援については、実態としては、有意義に実施されている一方、受け入れ側の保育所・学校との調整がうまくいかないということがあることを少なからず耳にします。それというのも、子ども・保護者のための事業というより、事業運営に利があるというコンサルティングに乗っかって指定を取っているのでは?と懸念するようなところもあり、今回の改定で訪問時間に下限を設けるべきではないか、という案も出ています。
 相談支援については、報酬改定の度に有識者が、単体の事業としても成り立つように大幅な報酬引き上げを意見していますが、厚労省は思い切った引き上げとは言えない小幅な報酬引き上げに留めて来ているので、今回も機能強化型の相談支援の報酬引き上げに触れているだけの原案に対して、多くの有識者から基本報酬をもっと上げるべきだという意見が出されています。障害福祉サービスの要と位置付けるなら、当然のことと言えます。
 今後の検討チームの議論と確定する案に注視していきたいものです。

                                                              森