障害支援区分認定調査への違和感

相談支援専門員として、年に何度か、障害支援区分認定調査に同席させてもらうことがありますが、そのたびに思うのが、これは認知症や精神疾患がある人を想定した設問ではないか、とか、高齢になって、身体・運動機能が落ちた人を想定した設問ではないか、など、およそ重度知的障害がある人、また発達障害がある人には、設問自体が的外れではないかと思うことも多々あり、これでもって、「客観的な尺度」というのには相当無理があるのではないかということです。国や自治体に財源の制限があり、どの人にどれぐらいの支援が必要かを判断できるものが要る、ということはわからなくはありません。ですが、およそどの障害にも一律当てはまる客観的な尺度・基準を設けることができるという発想自体が無謀な考え方と言わざるを得ません。一例をあげると、行動障害に関する項目で、「作話」というのがあって、どれぐらいの頻度(支援が不要、稀に支援が必要、月に1回以上の支援が必要、週に1回以上の支援が必要、ほぼ毎日支援が必要、のいずれか)で支援が必要か、という選択肢が設けられています。そもそも言葉を話すことができていない重度知的障害がある人にとって、こんな設問が全く無意味なことは一目瞭然です。にもかかわらず、この設問は言葉のない人にも設けられたままです。

障害者自立支援法が2006年から施行され、障害程度区分というものが設定され、その後、名称も障害支援区分と変わって、調査項目や選択肢の選び方(マニュアル)も若干の見直しがなされてきていますが、先に挙げたようなおよそピントのずれた調査項目がずっと変わらずに残っているのは何とも解せません。この仕組みが20年近くも続いてきて、今さらこの調査の手法や調査項目に疑問を呈し、あらためて問うという事自体がほぼ聞かれなくなったというのには忸怩たる思いが消えることはありません。