障害児通所支援報酬改定の方向性(10/5報酬改定検討チーム資料から読み取れること)

 前回のこのブログで取り上げた来年度に予定されている障害福祉サービス等報酬改定検討チームの障害児通所支援に関する報酬改定の議論が、10月5日にオンラインで行われています。(この報酬改定検討チームは、基本は3年ごとに行われて、今回は昨秋の消費税アップに伴う基本報酬の若干の引き上げがありましたが、本格的にはこの夏から議論が始まっています。まず、7~8月に5回に分けて数十団体への団体ヒアリングがあり、8月下旬から分野ごとに議題を設けて、来年1~2月頃まで会議が開催されることになっています)障害児通所支援については、現在会議資料が厚生労働省のホームページに掲載されていて、議事録はおさらく半月~1か月後には掲載されるかと思います。
 障害児通所支援について、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児通所支援共通、医療的ケアが必要な障害児の4項目に分けて、それぞれの報酬・基準について、各団体からの主な意見、現状と課題、論点、検討の方向性が示されています。
 それらを見ていくと、基本報酬は、児童発達支援・放課後等デイサービスとも定員による収支差の調整を行ったうえで、ケアニーズの高い(と言う表現が用いられています)障害児については、加算で評価するという方向になっていくのではないかと思われます。財務省が行った児童発達支援への調査では、センター以外の10人定員の収支差率が+24%と突出しており、一方で20人以上の定員の場合、-26%となっているらしく(センター以外の児童発達支援の平均は+19.2%)、定員が多くなるほど基本報酬が低い現状からいくらかの見直しが恐らく図られるのだと思います。放課後等デイサービスも、昨年度実施された厚生労働省調査では、他の障害福祉サービスに比べて収支差が10%以上と高く、今年度に入ってやはり財務省による調査が行われています。
 また、2年前の報酬改定で設けられた放課後等デイサービスの指標該当の障害児が延べ利用率で50%以上か未満か、さらに開所時間が3時間以上か未満かで分けていた区分は、止めて、その代わり指標該当する子どもが利用した場合に加算をつけることを検討しているようです。強度行動障害がある子どもについても、行動障害に至らないように支援することが大事、という考えを示しており、現在の加算強度行動障害を算定するときの要件を見直す可能性があるかと見ています。
 もう一つ注目すべきことは、家族支援の評価のあり方に加えて、要保護児童・要支援児童の受け入れに対する評価ということも示されるようになったことです。これは、実際に報酬改定で評価されるとなると、現在の障害児通所支援の枠組みが始まってから(2012年度以降)、10年目にして初めてのこととなりそうです。ただ、何をもって要保護児童・要支援児童とみなすのか、実務的・運用的な問題をどうしていくのか、意外と難しいようにも思えます。とは言っても、社会的養護という考え方をはっきり打ち出すことの意義は大きいと思います(今までは、入所支援では評価されていたようですが)。
 さらに人員基準を見直し、一定の経過期間を設けたうえで、従業者は、保育士と児童指導員のみとして、障害福祉サービス経験者は、人員基準から外す方向性も示してきています。こうなると、例えば学生アルバイトなどは、人員基準上では、評価されないことになります。前回のブログで書いた「サービスの内容と質」というところの質をこの新たな基準でもって担保しようということなのでしょうか?
 厚生労働省が原案として示してきているこれらについて、会議でどう議論され、そのうえで厚生労働省がいくらかの修正を加えるのか、あるいはほぼ原案通りになるのかは、他の障害福祉サービス同様、年明けぐらいまで待たないといけないかと思います。

                                    森