障害児通所支援の行方(1)

昨年夏から、厚生労働省において設置されている「障害児通所支援に関する検討会」、つい先日(1月25日)、第8回が開かれ、調査指標に関する検討と構成員(有識者、障害児・者支援団体、地方自治体など)ヒアリングが行われ、その様子を配信で拝見しました。特に、構成員のヒアリングでは、意見続出。各々のフィールドや立ち位置によって、さまざまな意見が提出され、そのこと自体はとてもいいことだと思ってヒアリング資料を読ませてもらいました。例えば、この検討会で重症心身児の支援に焦点を当てた検討がほとんどなされていないのではないか、という指摘、現在の5領域11項目の調査項目に換わる調査指標・項目についての意見、児童発達支援センターに求められる役割を担保できる人員配置とそれに見合う報酬のあり方、(仮称)総合支援型を基本にしつつ、(仮称)特定プログラム特化型をどう位置付けるかという問題提起(カルチャースクール化からどう脱するのか、ということなど)、支援時間に合わせた報酬体系(単価)の在り方 等々、それだけ現在の障害児通所支援制度の問題点や課題が多々あることが露呈したような感を抱きました。

中でも、私自身も従事している障害児相談支援に求められるないし期待されることがかなり大きいにもかかわらず、現行の相談支援専門員の養成研修では、児童及び発達支援に関するカリキュラムが専門コースに委ねられているもののそれが実施されていない都道府県もあること、またその受講が障害児相談支援(また通所の児童発達支援管理責任者)の必須となっていない現状とのギャップをどうしていくのかも見逃せない課題と思わされました。かつては、サービス管理責任者養成研修とは別に児童分野の研修があったのですが、それも制度改編でそもそも分野別は必須でなくなり、相談支援においても講義で、児童福祉法の中で関連する部分の説明などはあるものの、そもそも子どもの育ち自体に焦点を当てた研修、児童ならではのアセスメントにポイントを当てた研修は、法定研修の中では極めて少ないのが現状という実感を持っています。ゆえに、児童発達支援管理責任者や障害児相談支援専門員は、法人内もしくは外部のさまざまな機関・団体等が行う研修・学習会で知識やノウハウを身につけていくしかありません。それも勤務時間内で、そういう機会を持つことができれば望ましいものの、日常業務との兼ね合いで仮にそのような研修会がどこかで行われたいたとしても、受講が叶わないことも多々あり、そうなると休日や夜間など勤務時間外で、学習する機会を確保するしかありません。そのポジションにいる人が、家庭やプライベートな時間・状況との兼ね合いで、そのようなことも叶わないことも多々あるように推測されます。というように現状を省みると、研修の機会の確保、障害児相談支援専門員の育成(養成)の重点化は、喫緊の課題と言えるのではないでしょうか?そうでないと、現在議論されている障害児の生活・育ち全体を支援する在り方・アセスメント、それを担う障害児相談支援といううたい文句も机上の空論に帰することになりかねないと憂慮しているところです。

現在開催されている障害児通所支援に関する検討会は、次回2月6日より、検討会報告書のとりまとめ作業にかかっていくと予告されています。この4月には、障害児支援部門が、こども家庭庁に移管されること、またさらに1年後・2024年4月に予定されている報酬改定に向けた動きなど、刻々と行政が動いていくスケジュールが見えています。今回から、何回かにわたって、障害児通所支援の行方を観測・考察していきたいと思います。