障害児通所支援の「サービスの内容や質」とは?
来年度(2021年度)の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、この夏から本格的に報酬改定検討チームでの議論が始まっていますが、7月から8月初めにかけての5回にわたる関係団体ヒアリングを終えて、厚生労働省は、8月27日に開かれた第13回の報酬改定検討チームの会議で、「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた主な論点整理(案)」を出してきていて、その中の「3医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進」の項目で、・医療的ケアに関する判定スコアによる評価方法、・障害児通所支援におけるサービス内容や質に応じた評価方法 等3点を障害児支援での論点として挙げてきています。
障害福祉分野の仕事に措置時代から携わってきている者にとって、そもそも支援のことを「サービス」という言葉を、何のためらいもなく、行政も事業者もつかうことに強い違和感を覚えますが、今はその言葉をそのままつかうとして、その内容や質というのはどういうことを意味しているのでしょうか? 内容とは、例えば、SSTを行うとか、セラピスト(PT,OT,ST)による支援を行うとかは良くて、遊びを主体とした療育は、そんなもんただ遊ばせているだけやから評価を下げなあかん、といったことも示すのではないかということも想像されます。また、質というのは、保育士などの資格を持った職員がいるのかどうか、ということなのか、あるいは定員に対する職員数のことを意味するのか、そのどちらもなのか、はたまたそれとは違うことを言っているのか、まだわかりません。ただ、いずれにせよ、まだ増え続けている障害児通所支援(特に放課後等デイサービス)について、2年前以上の見直しが行われる可能性は高いと思われます。
そのような方向性を出してくるのは、これも3年ごとの障害福祉サービス等報酬改定のたびに、厚生労働省が視点・論点として示す「制度の持続可能性の確保」というあたかも障害児者支援で国が出すお金が増えるのはよくない、と言わんばかりの姿勢にも関係しているかと思います。ただ、今回の関係団体ヒアリングで、全国手をつなぐ育成会連合会が、放課後等デイサービスについて、学校以外は親がすべて子どもを見る、という状況を解消させたことを評価する一方で、「さまざまな事情によりサービスの利用頻度が高まると、反比例して保護者の対応力が低下する傾向が強く、それゆえますますサービスの利用頻度が増加する(給付額も増加する)悪循環」ということを指摘していることからも、現状は功罪半ばという見方もできます。大阪市のように通所支援で月31日決定が、区によってはセルフプランでもなされているようなことは、おそらく全国的にはまれなことであり、そのようなことがいつまで担保されるのかは不透明と思えます。
子ども自身の思い・ニーズと保護者の思い・ニーズが合致していることもあれば、乖離がある場合もあるでしょうし、一方で家庭環境はさまざまであることから、どのような場合にどれぐらい支援が必要なのかは一概には言えないということもあります。社会的養護という観点で見ないといけないところもあり、そこに関しては、現状以上に相談支援が本来担うべき機能(役割)は大きいと思いますが、いかんせん質量ともに相談支援の力量はまだまだではないかと思います(自戒を込めて、そう思います)。
いずれにせよ、数回前のこのブログでも書いたようなに、今後の障害福祉サービス等報酬改定検討チームの方針や議論の行方は、注視していく必要があるかと思います。
森