発達年齢で何がわかるのだろうか?

 療育手帳の判定で使われる発達検査で、発達指数(新版K式の場合は、DQ)とともに発達年齢(同じく新版K式では、DA)が結果として提示され、主にそれに基づき手帳の等級判定もされますが、検査結果の説明の際に、よくその当の子どもの発達に関して、「だいたい○歳ぐらいの発達段階」と話されたり、保護者もそのように判定員から聞いてきた、と聞くことが多いです。K式に限らず、WISC-ⅣでもIQやIAという数字で、その子どもの発達状況を説明することはよくあることと思います。しかし、果たして、例えば3歳ぐらいの発達と言って、3歳の子どもが、例え定型発達と言われている子どもでも、みんな同じようなことができたり、理解できたりしているわけではないはずです。ある子は走るのが得意だったり、また別の子はとにかく記憶力がよかったり、それともまた別の子は手先が器用だったり、そうではなかったり、というように、どの子にも得意不得意はあるものです。それをあたかもすべて平均があるかのように、3歳ぐらい、と言った(説明した)ところで、ほんとに何が解ったというのでしょうか?
 私は心理学の専門家ではありませんが、平均的に1歳前後で、言葉が出てきたリ、歩けるようになったり、と言われ、そういう観点で、1歳半健診や、また3歳児健診(社会性を見るなど)で発達の状態を観察・把握、ということなのだろうと思いますが(実際、私も子どもの成育歴を聞かせていただくうえで、健診の時に何か気になることがあったでしょうか、と伺うことも多いですが)、だからといって、この年齢の子はこんな成長ですよ、と語れるものがあるのかは、極めて疑問に思うところです。私たちは、ともすれば数値化されたものは、わかりやすいので、その数字に飛びつき、それでもって理解を進めることに陥りやすいですが、実は数字(指数・発達年齢)ではよくわからない、ということの方が圧倒的に多いと日ごろから感じています。その子どもの志向性(好きなこと、興味関心)や得意なこと・苦手なこと、性格、人との関係性など数値化できないことを知る・つかむことの方がよほど大事なことのように私には思えます。発達年齢で何かを語られる、あるいは理解しようとすることへの違和感はずっとあって、その違和感を忘れずに子どもを見て、付き合っていきたいと思います。

                                                      森