放課後等デイサービスが児童福祉であること

 今から20年前に、児童デイサービスが就学児にも拡大され、また2006年の障害者自立支援法の施行により就学児中心のデイが開所していったころに、現在のこれほどまでの激増を予測できた人がどれほどあったでしょうか。昨今は、放課後等デイサービスの質が問われ、マスコミでもよく取り上げられるようになってきています。それゆえに、この数年は放課後等デイサービスの基準や報酬の見直しが何度もなされ、激増を止めようという国の姿勢が出ています。しかし、語弊のある言い方をしますが、一度何でもありの指定基準を取ったことで、では、放課後等デイサービスがなぜ福祉(児童福祉)なのか、という根本的な問いが省みられていないのではないかという状況が続いていると思っています。
 岡村重夫さんがかつて『社会福祉原論』(1983年、全社協)で、社会福祉の機能を五つあげて、その中で送致的機能として、他の分野(医療、教育等)に委ねることができる場合は他の分野に任せ、今ない制度や必要な支援については開発していく開発的機能もある(しかもこれが一番重要)、と述べています。ほかの機能は、評価的機能、調整的機能、そして保護的機能(これが狭義での社会福祉)を挙げています。岡村さんのこの整理によれば、児童福祉である放課後等デイサービスが、まず何をするべきなのかが明確になると考えます。つまり、子どもたちを教育するのでもなく、まして訓練するのでもなく、まず子どもたちが安心して心を開き、安らぎ、また自分の思いや希望を育むことができる環境を整え、その姿勢で子どもに関わっていく人(支援者)がいるということが大切であるということだと思います。

 障害を持った子どもたちは、いま言ったような環境や人との関係が家庭や学校園以外になかなか持ちにくく、だからこそ放課後等デイサービスや児童発達支援という通所支援は、まずそういう場や関係を持つことができることを目指すべきだと思っています。場合によっては、家庭や学校園でも落ち着くことができない状態にある子どももあると感じることもあります。だからこそ、安心できる場、人がいるということが大事なのだと思います。ここのところがあいまいであるがゆえに昨今の状況がある一つの大きな要因であると言っていいと思っています。

 前回のブログで1か所、訂正しなければなりません。地域定着支援は、今回の法改正で新設されたものではなく、以前から一般相談支援の中で、地域移行支援とともに行われている支援です。今回の改正で、地域生活を支える類型としては、自立生活援助が新設された、に訂正いたします。書いた内容の確認が不十分であり申し訳ありませんでした。
                                 森