在り方検討会で気になること
前回のブログで触れた「障害児通所支援の在り方に関する検討会」は、先日(7月5日)、2回目の会議が開かれたようです。公開されている検討会の資料を読んでいくつか思うことがあります。
まず、障害児通所事業所を利用する保護者に対して実施したアンケートで、保護者に利用ニーズを聞いたところ(おそらく10項目余りの選択肢を示して、その中から複数回答可、としたものと思われます)、感性と表現力の向上(77.9%)、社会性やコミュニケーションスキルの獲得(72.0%)、集団での活動への慣れや訓練(61.9%)の順に多く、選択肢の中では働くことの理解や働く場との接点の提供(29.0%)や学習教材や宿題等への取り組み、学習支援(37.1%)といった項目は比較的には低い選択であると示されています。このアンケートが、どのような形でどれぐらいの規模で行われたのかは目下のところ確認できていませんが、このニーズというところから、通所支援の望まれる姿を描けば、近頃増加が目立ってきているように感じる個別支援・個別療育よりも、何人かの大人や子どもが同じ空間にいる集団での関係構築ややり取りといったことが、よりニーズに合った形のように私には思えます。
第1回の検討会で、厚労省が出してきている「主な検討事項(案)」を読む限りでは、専門療育を行うわけではない言わば保育所や学童保育の障害児版というような事業所に対しては、一般施策への統合を図るか、日中一時支援への転換のような形を考えているのか、という考え方も見え隠れしているように感じられます。しかし、もしそういう方向で現在の障害児通所支援の再編を進めていくとすれば、一番懸念されるのが、重度の知的障害児や自閉傾向が強く場合によっては強度行動障害児と言われる子どもが、落ち着いて過ごせる居場所がなくなるのでは、ということです。私たちが、13年前に旧・児童デイサービスを開所させたときに真っ先に利用を希望してきたのが、今言った重度の知的障害があったり、強度行動障害があるとされる子どもたちでした。それは、裏返せば、児童デイサービス以外では、落ち着いて楽しく過ごせる居場所が、彼らにはなかった、あるいは少なかったということを示しているように思いました。つまり、一般施策の学童保育やそれに類似する所では、放課後や休日の時間を、いろんな事柄に触れながら感性を磨き、社会性を身につけ、夢中になれることを見つけていくということが、なかなかかなわなかったからこそ、児童デイサービスができるといち早く利用するようになったのだと思います。このような実感からすると、現在、厚労省が示してきている案の方向性はどうなんだろうか、ととても気掛かりです。
今後も検討会の動向にはしっかり注視していきたいと思います。
森