利用者・支援者へのリスペクト

 前回に続いて、ラグビーから示唆を受けたことを書きます。
 前回、ラグビーのレフリーは、反則を見守るということよりも、選手と協力してどう円滑に試合を進めるか、試合のコントロールを司る人だというようなことを書きました。ゆえに、選手が反則を犯さないように今のプレーが流していくものなのか(プレーオン)、こうしたら反則になるよ、という声かけを行って、できる限りプレーが途切れない、見ていて楽しいゲーム進行を心がけているのが良いレフリーとされています。(もちろん、悪質な反則や危険なプレーに対しては、毅然とした態度で、場合によってはイエローカード=10分間退出、レッドカード=退場を出すこともいとわない姿勢は必要です。タックルという身体接触が認められているスポーツなので、時には重傷を負うリスクもあることから選手の安全を図ることも求められるからです。)

 1~2年前に、あるテレビのラグビー中継で、女子A級レフリーの川崎さんがゲスト出演していて、アナウンサーからレフリングで心がけていることを尋ねられて、間髪入れず「選手に対するリスペクト」と答えていたのが、とても印象的でした。これは、実は私たち福祉職に携わっている者にも大事なことを教えてくれているように思います。つまり、利用者へのリスペクト(敬意)と言ったらいいでしょうか。また私のように相談支援専門員であれば、利用者のみならず直接支援を行っている支援者へのリスペクト・敬意がなくては、いい支援につながらないと気づかされるものでした。そんなことは当たり前ではないか、という声も当然あると思いますが、支援の調整・マネージメントでうまくいかないことがあると、ついついそのことは忘れがちになってしまいます。
 このことは、もう少し深めてみていくと、レフリーの選手へのリスペクトと同時に、選手のレフリーへのリスペクトがなくては、いい試合(見ていてすがすがしい、という意味で)にはならず、見ていて(そして多分試合を行っている選手・レフリーも)消化不良を起こすうっぷんのたまるものになるでしょう。逆に言えば、選手からリスペクトを受ける(或いは、安心してもらえる、信頼してもらえる、と言い換えてもいいかもしれません)レフリーになれるような精進も求められるということかと思います。
 いい支援を行う上での基本姿勢ということでも、いいレフリングには見習うべき点が多々あることをかみしめたいと思います。

                              森