サービスと福祉
2006年の障害者自立支援法成立以降(いえ、もしかしたら2003年の支援費制度からかもしれません)サービスという言葉が日常的に、ほぼ何のためらいもなく使われるようになりました。事業者(法人、会社)もそうですし、役所もごく普通にサービス担当の職員、と言ったりしています。いやしかし、日常生活を営む上で何らかの支援を行うことを、何か物を売り買いするサービスと呼んでいいのか、私には大いなる抵抗があります。しかしながら、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づいて行われる支援の多くを「障害福祉サービス」と言っていますし、その受給者証は「障害福祉サービス受給者証」と書かれています。だから何のためらいもなく、サービスという言葉が使われているのでしょう。何ともはや・・・。
いったん定着した言葉は何の反省もなく使われ続けます。私は、そもそもサービスというものと福祉というものが両立する概念なのかはなはだ疑問に思っていますが、こんなひっかかりも言葉にとらわれすぎと一蹴されてしまうのかもしれません。しかし、昨今うちの法人や事業所にも送り付けられてくるダイレクトメールも”放課後等デイサービスの競争に生き残るためのセミナー”、とかいうたぐいのものがよくあり、そこには支援技術に関することは載っているとしても、福祉的な視点は全く感じることができません(少なくとも私には)。福祉サービス業界と化している状況がそこには見えます。
こんなことをときどき嘆いたりして、時に同業者とも話をしたりします。少なからず、私と同じように憂う人たちもいます。そんなこんなで、先日、大阪市城東区で有志が集まる勉強会に呼んでもらって、昨今の状況をどう見るか、自分たちはどうしていったらいいか、というような意見交換も行う機会がありました。うちの職員にも、この話は還元しないといけないと思いつつ、夏休みに突入してしまいましたので、また秋以降に内部研修で話の共有を図りたいと思っているところです。
私たちが見失ってはいけない視点を振り返り直したいと思います。
森