「マイスモールランド」

前回のブログで、ロシアのウクライナ侵攻に関連して、20年ぐらい前の映画「酔っぱらった馬の時間」のことにも触れましたが、折しも現在、「マイスモールランド」という日本で暮らすクルド人家族の苦境と絆を描いた劇映画が公開されています。ただ劇映画と言いながらも、まったくの作り話とは言えない日本政府の措置があります。というのも、日本にやってきた難民は、極めて厳しい基準でしか難民認定されず、難民申請しても不認定となってしまえば、出入国管理庁の施設での劣悪な環境のもとに置かれるか、映画で描かれるような仮放免と言って、地域社会で暮らすことが認められても就労を禁じられて、あたかも真綿で首を締めれるような扱いを受けていることになってしまうようです(と言うような書き方しかできないのは、私の勉強不足です)。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本政府も欧米諸国と歩調を合わせて、ウクライナからの難民を積極的に受け入れることを首相は表明しましたが、それも避難民という言い方で、難民とは切り分けるようなことを言ったりして微妙なニュアンスが残っています。そのような発言に接すると、あくまで今回のウクライナからの難民に対してだけ例外的な措置をとるということで、難民鎖国政策を続けていると言われる日本政府の対応は、根本的には変わっていないと思わざるを得ません。このように見ていくと、今回のウクライナからの難民だけを特別扱いすることで終わらせず、外国人との共生社会をどう作っていくのか、という視点に立って、難民政策の変更を願わずにはいられらくなります。「マイスモールランド」は、そんなふうに私たちに足元の自分たちが暮らす地域社会のありようを見つめ直すことにも繋がる作品でした。